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湯浅譲二 作曲家のポートレート - アンテグラルから軌跡へ

2023年 8月 22日付

湯浅譲二/Joji Yuasa

photo © Jun'ichi Ishizuka

2023年8月25日にサントリーホールで開催される「湯浅譲二 作曲家のポートレート—アンテグラルから軌跡へ—」において、湯浅譲二の《オーケストラのための「軌跡」》と《哀歌エレジィ》が世界初演される。

《オーケストラのための「軌跡」》は、サントリー芸術財団により「作曲家の個展 II 2017」のために委嘱された作品。しかしながら、2017年初頭、湯浅は作曲中に病に倒れ、一旦、初演は中止の決定が下された。その後、リハビリにより順調に回復を続け、公演間際に書き上げられた冒頭部分のみ、2017年10月30日の公演で部分初演が行われた。

それから約5年を経て、2022年に全曲が完成。その間、何度も体調を崩し、入退院を繰り返しながらも、湯浅は粘り強く作曲を続けた。作曲家が信頼を置く指揮者であり、湯浅のこの作品への思いもよく知る杉山洋一がタクトを取り、杉山と共に2017年に部分初演を行った東京都交響楽団が今回の全曲版の世界初演も行う。

この日はもう1曲、世界初演が行われる。亡くなられた玲子夫人を偲んで、2008年にマンドリン・オーケストラのために書いた《哀歌エレジィ》を、湯浅は、今回、通常のオーケストラに使われる楽器のために編曲した。マンドリン・オーケストラのために作曲したのは、原曲の《哀歌》が初めてだったという湯浅。前々から、原曲を普通のオーケストラで書いてみたいと考えていたという。

この演奏会では、この他に、湯浅が影響を受けたヴァレーズ、クセナキスの作品と並び、湯浅の《オーケストラの時の時》が演奏される。今年、94歳を迎えた作曲家の創作の軌跡を辿る貴重な一夜となるだろう。

湯浅譲二
《オーケストラのための「軌跡」》(2017-2022)
Locus of the orchestra
【世界初演】
哀歌エレジィ》(2023)
打楽器、ハープ、ピアノ、弦楽オーケストラのための
Elegy
for percussion, harp, piano and string orchestra
【世界初演】
杉山洋一(指揮) 東京都交響楽団
「湯浅譲二 作曲家のポートレート—アンテグラルから軌跡へ—」
2023年8月25日(金)19:00 サントリーホール(東京)
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/schedule/detail/20230825_M_3.html

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