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尾高忠明指揮による武満徹特集 札響と大フィルが《「乱」組曲》ほか演奏

2018年 2月 1日付

Photo: Schott Music Co. Ltd., Tokyo


札幌交響楽団の名誉音楽監督、大阪フィルハーモニーのミュージック・アドヴァイザーを務める尾高忠明が2月、それぞれのオーケストラを指揮し、《「乱」組曲》ほか武満徹の管弦楽作品を特集する。札響「第607回定期演奏会 〜世界に札響を...「乱」ふたたび〜」(23日、24日・札幌)は全曲武満プログラム、大フィル「Enjoy!オーケストラ 〜オーケストラで聴く映画音楽の世界!〜」(9日・大阪)はジョン・ウィリアムズ作品とのカップリングによる武満の映画音楽特集だ。

両オーケストラがいずれも取り上げる《「乱」組曲》は、黒澤明27作目の映画「乱」(1985)のために武満が作曲した背景音楽から抜粋、再構成された全4楽章の作品。映画の重要な場面を飾っている音楽ばかりで構成されており、サウンド・トラックを担当した札幌交響楽団をはじめ、国内外のオーケストラによって数多く演奏されている。

この映画音楽の作曲において武満が黒澤と激しく衝突したエピソードもよく知られるところだが、武満が「自分の音楽に一番合っているサウンド」として指名した札幌交響楽団によるこの映画音楽(岩城宏之指揮)は、ロサンゼルス映画批評家協会賞、第9回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞し、高く評価された。

武満としては異例ともいえる、ティンパニを多用した重く厚いオーケストラの響きは、同時期に作曲された《リヴァラン》や《夢窓》といった色彩豊かな音楽とは全く異なった世界を築き上げている。組曲版では原曲で使用された和楽器が省かれ、オーソドックスな編成のオーケストラで演奏される。英シャンドスからリリースされた「尾高惇忠・武満徹・細川俊夫/管弦楽作品集」には尾高指揮札響の演奏による組曲版の録音が収められている[2000年5月録音/CHAN 9876]。

大阪フィルハーモニーが演奏する《波の盆》と《3つの映画音楽》もまた、映像作品のために武満が作曲した音楽の演奏会用編曲版だ。1983年11月15日に放映されたテレビドラマ「波の盆」(脚本:倉本聰/監督:実相寺昭雄/制作:日本テレビ+テレビマンユニオン/出演:笠智衆、加藤治子ほか)は、ハワイの日系移民を主人公に、太平洋戦争時の日系1世と2世の間の相剋という、重く暗いテーマを描いている。しかし武満の音楽はこれと対照的に明るく、弦楽を主体とした甘美な旋律とハーモニーが印象的だ。ロシアの映画監督アレクサンドル・ソクーロフはこの音楽に感銘を受け、ドキュメンタリー映像作品「精神の声」(1995)でこの音楽を使っている。

弦楽オーケストラのための《3つの映画音楽》(1994/95)は、1995年スイスで開かれた第1回グシュタード・シネミュージック・フェスティバルのテーマ作曲家となった武満が、これに際し過去に作曲した映画音楽を弦楽オーケストラのために編曲してまとめたもの。最晩年の仕事にして、いまや最も演奏機会の多い武満のコンサートピースとして世界中で愛されている作品だ。勅使河原宏監督との最初の協働となった「ホゼー・トレス」(1959)より《訓練と休息の音楽》、「黒い雨」(今村昌平監督、1989)より《葬送の音楽》、「他人の顔」(勅使河原宏監督、1966)より《ワルツ》の3曲で構成される。各曲の個性に加え、武満音楽らしい前衛性と官能性を聴き取ることができる作品だ。


2018年2月9日[金]19:00 ザ・シンフォニーホール(大阪)
《3つの映画音楽》弦楽オーケストラのための
《「乱」組曲》オーケストラのための
《波の盆》オーケストラのための
大阪フィルハーモニー 尾高忠明(指揮)
http://www.osaka-phil.com/schedule/detail.php?d=20180209

2018年2月23日[金]19:00 札幌コンサートホールKitara(北海道)
2018年2月24日[金]14:00 札幌コンサートホールKitara(北海道)
《系図 – 若い人たちのための音楽詩》語りとオーケストラのための
《遠い呼び声の彼方へ!》ヴァイオリンとオーケストラのための
《「乱」組曲》オーケストラのための
《ファンタズマ/カントス》クラリネットとオーケストラのための
三瓶佳紀(クラリネット) 塩崎アレックス(ヴァイオリン) 中井貴惠(語り) 尾高忠明(指揮) 札幌交響楽団
http://www.sso.or.jp/concerts/2018/02/607/