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権代敦彦《クロノス》と《カイロス》ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012

2012年 5月 1日付

権代敦彦の最新作《クロノス》と《カイロス》が5月3日、東京国際フォーラムで開かれる音楽祭ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2012で演奏されます。

5人の奏者のための《クロノス時の裂け目》は、今年2月4日にフランスの都市、ナントで開催されている姉妹音楽祭ラ・フォル・ジュルネ・ドゥ・ナント2012において、マキシム・パスカル指揮アンサンブル・ル・バルコンによって世界初演された権代の新作で、今回が待望の日本初演となります。演奏は山根孝司(バス・クラリネット)、伴野涼介(ホルン)、宮田大(チェロ)、池上英樹(打楽器)、北村朋幹(ピアノ)。

ピアノのための《カイロスその時》は、児玉桃による演奏です。この作品は、2011年3月11日の東日本大震災の直後に書かれ、同年9月17日に京都で、また19日に東京で開かれたリサイタル「児玉桃ピアノ・ファンタジー vol.1」において世界初演されました。なお、この昨年の演奏会は、この3月末に第11回佐治敬三賞を受賞しています。

権代は《クロノス》《カイロス》を一対の作品として考え、こう述べています。


2011年3月11日、日本を襲った大地震と大津波、それによって起こした福島の原発事故を受けて、直後に《カイロス》(Kairos)というピアノ曲を書いた。それは、そこで失われた生まれて間もない小さな命、犠牲となった子どもたちへの想いを込めたものだったが、最後に、突然絶たれた命が、「永遠の時の刻み」に連ならんことを短く祈って、曲を終えた。

この”カイロス”が、あの時日本人の誰もが体験した決定的な“時”だったとすれば……今の日本に於いて“ロシア”と聞いて真っ先に思い起こすのは、25年を経たチェルノブイリ原発事故と、それに重なり合う福島原発の現状と今後であり、「ロシアの祭典」というテーマの音楽祭、ここに提供する新曲は、これら2つの原発事故のイメージから遠ざかることは出来ない。

曲は、スクリャービンによって多用された神秘和音 Synthetic chord に基づいて書かれ、その合成された和音同士の摩擦、軋みに、ときに波の?きが、ときに地の足掻きが、ときに人の呻きが聴こえるが、それらすべてを、あの「永遠の時の刻み」で、なんとかやさしく包み込みたい。そんな願いを込めて《クロノス》(Kronos)、即ち地球上すべての人の上に刻まれる“時間”と名付けた。

その刻みの絶えざることを祈って、曲が終わる。


なお、「祈り」と題されたこの演奏会は、権代の他に、アルヴォ・ペルト《カノン・ポカヤネン》から数曲も取り上げられています。


■ 演奏会と作品情報:

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2012
祈り
5月3日(木)21:45開演 東京国際フォーラム(ホールD7)


ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2012
第11回(2011年度)佐治敬三賞の決定について