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ヴリーヘル編 ワーグナー《指環 ?オーケストラル・アドヴェンチャー?》東京フィルハーモニー交響楽団、NHK交響楽団が演奏

2009年 1月16日付

ヘンク・ド・ヴリーヘル(Henk de Vlieger)がワーグナーの《ニーベルングの指環》を管弦楽に編曲した《指環?オーケストラル・アドヴェンチャー?》が1月29, 30日にペーター・シュナイダー指揮東京フィルハーモニー交響楽団によって、また4月4, 5日にはエド・デ・ワールト指揮NHK交響楽団によって東京で演奏される。
 オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の首席打楽器奏者で作曲家でもあるヘンク・ド・ヴリーヘルは1991年にオランダ放送フィルハーモニー管弦楽団の委嘱でこの長大な楽劇を演奏時間約1時間の管弦楽作品に編曲し、当時同管弦楽団の首席指揮者だったエド・デ・ワールトの指揮により1992年に初演された。聴き所だけを集めた単なる抜粋とは違い、あたかも一つの交響詩のようにまとめられたこの編曲版は好評を博し、エド・デ・ワールトの他、ファビオ・ルイージ、ケント・ナガノ、エフゲニー・スヴェトラーノフ、アダム・フィッシャー、ネーメ・ヤルヴィといった指揮者によって取り上げられ、再演回数は約100回にものぼる。日本では、2003年にPMFオーケストラが、2005年には読売日本交響楽団がいずれもエド・デ・ワールトの指揮でこの編曲を演奏している。
 ワーグナーが20年以上の歳月をかけて作曲した楽劇《ニーベルングの指環》は『ラインの黄金』『ワルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』全てを上演すると約15時間にもなる。このあまりに長い上演時間に、音楽史上不朽の名作とはわかっていながらつい敬遠している、あるいは途中で挫折してしまった音楽ファンにとっても《指環》の魅力が凝縮されたこのヴリーヘル編曲版は親しめるだろう。
 今回東京フィルハーモニー交響楽団を指揮するペーター・シュナイダーはバイロイト音楽祭をはじめ世界各地の歌劇場でワーグナーのオペラを指揮してきたベテランのワーグナー指揮者。そのペーター・シュナイダーによるヴリーヘル版《指環》の演奏に注目したい。
 なお、ヴリーヘルは《指環》の他、《トリスタンとイゾルデ》《パルジファル》《ニュルンベルグのマイスタージンガー》についても同様の管弦楽編曲をおこなっている。パート譜はいずれの作品も当社からレンタル可能。

東京フィルハーモニー交響楽団による演奏会詳細
1月29日(東京オペラシティ)
1月30日(サントリーホール)

NHK交響楽団による演奏会詳細
4月4日(NHKホール)
4月5日(NHKホール)

Naxos Music Libraryでヴリーヘル編曲版《指環 ?オーケストラル・アドヴェンチャー?》を聴く


《ニーベルングの指環》について
1859年にワーグナーと契約したショット社は《ニーベルングの指環》の出版を開始したが、《指環》のスコアやパート譜の浄書、印刷には膨大な時間と莫大な費用がかかった。この社運を賭した決断を下した当時のショット社の社長フランツ・ショットは1862年10月21日付ワーグナーに宛てた手紙のなかで「いかなる音楽出版社もあなたの要求を満たすことはできないでしょう。大富豪の銀行家かどこかの王子のみができることです。…」と愚痴をこぼしている。実際にワーグナーはその後バイエルン国王のルートヴィヒ2世から絶大な庇護をうけることになった。
ショット社によってつくられた《指環》のスコアやパート譜は今日でも世界中の歌劇場で使用されている。

参考(ショット・ミュージック(独)のウェブサイト)
http://www.schott-music.com/about/history/wagner_years/index.html