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細川俊夫《時の花 -オリヴィエ・メシアンへのオマージュ-》12月12日に東京で日本初演

2008年 12月 5日付

細川俊夫のクラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための《時の花 -オリヴィエ・メシアンへのオマージュ-》が12月12日に浜離宮朝日ホール(東京)でイェルク・ヴィトマン、ルノー・カプソン、ゴーティエ・カプソン、児玉桃により日本初演される。
 この作品はルツェルン音楽祭と児玉桃の共同委嘱により今年作曲され、8月23日にルツェルン音楽祭で児玉桃、イェルク・ヴィトマンらにより世界初演された。今年が生誕100年のオリヴィエ・メシアンへのオマージュとして作曲された《時の花》は《世の終わりのための四重奏曲》と同じ楽器編成をもち「メシアン生誕100年記念 児玉桃メシアン・プロジェクト2008第5回」と題された12日の演奏会でもメシアンの《世の終わりのための四重奏曲》とともに演奏される。
 また、12月17日には、現在パリでおこなわれているパリの秋フェスティヴァルでもこの作品が児玉桃、イェルク・ヴィトマンらによりフランス初演される。
 
12月12日の演奏会の詳細(浜離宮朝日ホール)

12月17日の演奏会の詳細(パリの秋フェスティヴァル)


《時の花 -オリヴィエ・メシアンへのオマージュ-》作曲者解説

私はここ数年、「花」をテーマにした音楽を書き続けている。弦楽四重奏のための《沈黙の花》、混声合唱と打楽器のための《蓮の花》、弦楽四重奏のための《開花》、ピアノとオーケストラのための《月夜の蓮》等は、それぞれ花の姿を音楽的に表現しようとしたものである。
 「花」への関心は、私の生まれ育った家に生け花の伝統があったことや、私の愛する日本の伝統詩歌に「花」を歌ったものが多いことによる。まだつぼみであった音楽的な原形が、ゆっくりと静かに「歌」へと開花していく。私は「花の心」を音楽にしてみたい。それは、私が私のオリジナルな歌をうたうことへの願いであり、内なる音楽的な開花への願いでもある。
 オリヴィエ・メシアンの《世の終わりのための四重奏曲》と同じ編成で、という児玉桃のアイディアによってこの音楽は生まれた。「桃」という日本の花の名は、ミヒャエル・エンデの『モモ』を想起させ、この四重奏曲のドイツ語による欧文タイトル「Stunden-Blumen」はその本の重要な一章の題名でもある。「世の終わり」に対して、「時の始まり」や「時の始原」を暗示するような音楽を生み出したかった。母胎となる一音の持続の内から、陰陽が生まれ、ハーモニーが生まれ、その緊張の内から「音の花」、つまり「歌」が生まれていく。
 この作品を児玉桃に捧げる。