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サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2015:ツィンマーマン|ホリガー|シュトックハウゼン

2015年 8月 3日付

Heinz Holliger, Photo: Priska Ketterer
B.A. Zimmermann at Schott in Mainz, October 1954, © Schott Promotion
Karlheinz Stockhausen, © Kathinka Pasveer


国内最大級の現代音楽の祭典「サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2015」が、8月22日から30日にかけて東京のサントリーホールを舞台に開催されます。

「ザ・プロデューサー・シリーズ」では、音楽学者・長木誠司をプロデューサーに迎え、戦後のドイツ前衛音楽を代表する2人の作曲家が同時期に作曲した「声」をテーマとする2作品:ツィンマーマン作曲《ある若き詩人のためのレクイエム》、シュトックハウゼン作曲《シュティムング》が演奏されます。細川俊夫が監修する「国際作曲委嘱シリーズ」では、ハインツ・ホリガーをテーマ作曲家に、委嘱作品の世界初演を含む管弦楽と室内楽のコンサートが行われます。

今回が日本初演となる、ベルント・アロイス・ツィンマーマン作曲《ある若き詩人のためのレクイエム》(1967-1969)は、ナレーター、独唱、3群の合唱、エレクトロニクス、オーケストラ、ジャズ・コンボ、オルガンという大編成によって演奏される60分超の大作。サブタイトルに「lingual(=言語作品)」と冠されたこの作品ではテクストが重要な役割を担っており、ラテン語の典礼文、『ドイツ基本法』、『毛沢東語録』ほか、ヴィトゲンシュタイン、ジョイス、アイスキュロス、チャーチル、ヒトラー、スターリン、ゲッベルス、マヤコフスキーらによる様々な言葉が、合唱・語り・独唱・テープ音響によってコラージュされていきます。世界初演は1969年デュッセルドルフにて、エッダ・モーザー(ソプラノ)、ミヒャエル・ギーレン指揮、ケルン放送交響楽団、ケルン放送合唱団、マンフレッド・スクーフ・クインテットらによって行われました。今回の日本初演は、ソリストに森川栄子(ソプラノ)と大沼徹(バリトン)、大野和士指揮、東京都交響楽団、新国立劇場合唱団、スガダイロー・クインテット(ジャズ・コンボ)、有馬純寿(エレクトロニクス)ら、総勢200名以上による演奏。字幕映像に加え、ホール各所に配置された合唱とスピーカーによって、ホール全体が言葉で満たされるかのような、またと無い音響空間が出現するでしょう。

カールハインツ・シュトックハウゼン作曲《シュティムング(パリ版)》(1968)は、6人のヴォーカリストのための作品。シュトックハウゼンが声だけを使って作曲した初めての作品で、声(母音)が包含する豊かな倍音の響きが追求されています。世界初演は1968年パリにて、コレギウム・ヴォカーレによって行われました。今回、国内では大阪万博(1970)以来の再演となります。約70分の演奏時間に加え、特定の倍音を強調する唱法や厳密に指定されたテンポも相まって非常に演奏困難な作品ですが、音楽監督のユーリア・ミハーイ(ソプラノ)を中心に、松平敬(バス)、太田真紀(アルト)、山枡信明(テノール)ら現代作品のスペシャリスト達が入念なリハーサルをもって臨む緻密な表現に期待が高まります。

ハインツ・ホリガーをテーマ作曲家に迎える「国際作曲委嘱シリーズ」では、室内楽と管弦楽の2つの演奏会でホリガーの作品を特集します。管弦楽演奏会(8月27日)では、ホリガー自身の指揮によって、委嘱作品《デンマーリヒト(薄明)ソプラノと大オーケストラのための5つの俳句》(2015)の世界初演、ヴィオラと小オーケストラのための《レチカント》(2000-2001)の日本初演ほか、ホリガーの作曲の師であるシャーンドル・ヴェレシュ作曲《ベラ・バルトークの思い出に捧げる哀歌》(1945)などが演奏されます。ソリストは、サラ・ヴェゲナー(ソプラノ)とジュヌヴィエーヴ・シュトロッセ(ヴィオラ)、管弦楽は東京交響楽団。室内楽演奏会(8月22日)では、ホリガーがオーボエ奏者として出演し、《トリオ》(1966)から、近作《インクレシャントゥム》(2014)まで、様々な楽器編成による5作品が演奏されます。一流のオーボエ奏者・指揮者・作曲家であるホリガーの音楽性を余すところ無く伝える2日間となるでしょう。


サントリー芸術財団 サマーフェスティバル2015
8月22日〜30日|サントリーホール(東京)

ザ・プロデューサー・シリーズ 長木誠司がひらく
8月4日(火)18:30|東京大学駒場Iキャンパス|トークイベント(長木誠司・大野和士・有馬純寿・原島大輔)
8月23日(日)18:00|大ホール|B・A・ツィンマーマン《ある若き詩人のためのレクイエム》
8月29日(土)19:00|ブルーローズ|シュトックハウゼン《シュティムング》パリ版

国際作曲委嘱シリーズ No.38 テーマ作曲家〈ハインツ・ホリガー〉
8月22日(土)16:00|ブルーローズ|室内楽
8月27日(木)19:00|大ホール|管弦楽

第25回 芥川作曲賞選考演奏会
8月30日(日)15:00|大ホール

TRANSMUSIC 特別公演
8月26日(水)19:00|ブルーローズ