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エリオット・カーター逝去 103歳

2012年 11月 8日付

Elliott Carter ©Meredith Heuer

作曲家エリオット・カーター(Elliott Carter)が11月5日、ニューヨークの自宅で亡くなりました。享年103歳。

1908年ニューヨークに生まれたカーターは、チャールズ・アイヴズの勧めでクラシック音楽を志し、ハーヴァード大学でウォルター・ピストンに、後パリに渡りナディア・ブーランジェにそれぞれ師事しました。

初期の傑作《交響曲第1番》(1942)や《ホリデイ序曲》(1944)から、ストラヴィンスキーをして傑作と言わしめた《ハープシコードとピアノのための二重協奏曲》(1961)や《ピアノ協奏曲》(1964)、室内アンサンブルのための《三重二重奏曲》(1983)、《オーボエ協奏曲》(1986-87)、オーケストラのための《シンフォニア》(1993-96)、アラン・ダミアンとピエール・ブーレーズ指揮アンサンブル・アンテルコンタンポランによって初演された《クラリネット協奏曲》(1996)、一幕のオペラ《ホワット・ネクスト?》(1997-98)、そして今年10月25日にダニエル・バレンボイムのピアノ、グスタヴォ・ドゥダメル指揮スカラ座管弦楽団によって初演されたばかりの《ダイアログス II》(2012)や、来春に初演予定の室内アンサンブルのための《インスタンス》(2012)まで、75年を超える創作活動の中でカーターは158にも及ぶ作品を遺し、名実ともに現代アメリカを代表する世界的な作曲家として、100歳を超えてなお第一線で活躍していました。

近年ではオランダのASKOアンサンブルの委嘱による《アスコ協奏曲》(1999-2000)や、ソプラノと室内アンサンブルのための《What Are Years》(2009)、木管五重奏のための《Nine by Five》(2009)、そしてピエール=ロラン・エマールによって各地で演奏されている《ピアノについての2つの考察》(2007)などの小編成作品から、《ボストン協奏曲》(2002)、《3つのイリュージョン》(2004)、エマニュエル・パユのフルートで初演された《フルート協奏曲》(2008)といったオーケストラ作品まで、この10年間だけでも40作品以上を作曲しています。2008年にはピアノ協奏曲《インターヴェンション》が 、ニューヨークのカーネギー・ホールで行われたカーター100歳のバースデイ・コンサートで、バレンボイムのピアノ、ジェームズ・レヴァイン指揮ボストン交響楽団によって初演されました。

1960年と1973年にそれぞれ《弦楽四重奏第2番》と《弦楽四重奏第3番》でピューリッツァー賞受賞、1981年にエルンスト・ フォン・ジーメンス音楽賞受賞、1985年には全米芸術勲章の最初の受章者に選ばれました。またフランス政府から1988年に芸術文化勲章、2012年にレジオンドヌール勲章を授与されるなど、長いキャリアを通じて数々の栄誉に輝きました。


■ Boosey & Hawkes|Elliott Carter - Biography
http://www.boosey.com/pages/cr/composer/composer_main.asp?composerid=2790&ttitle=Biography&ttype=BIOGRAPHY

■ Boosey & Hawkes|Carter on Carter(カーターへのインタヴュー動画)
http://www.boosey.com/podcast/Carter-on-Carter-1-Early-Years/13082