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細川俊夫《月夜の蓮 -モーツァルトへのオマージュ-》
4月に世界初演

2006年 3月13日付

細川俊夫の最新作、ピアノとオーケストラのための《月夜の蓮 -モーツァルトへのオマージュ-》が4月7日、ハンブルクのライスハレで児玉桃のピアノ、準・メルクル指揮北ドイツ放送交響楽団により世界初演される。
  北ドイツ放送(NDR)は今年、"MOZART2006"というテーマのもと、イザベル・ムンドリー(ヴァイオリン協奏曲)、ベアート・フラー(コンサート・アリア)、イェルク・ヴィトマン(クラリネット協奏曲)、そして細川俊夫(ピアノ協奏曲)の4人の作曲家にモーツァルトの生誕250年にちなんだ新作を委嘱した。委嘱新作はモーツァルトの作品とカップリングで演奏されるが、作曲家は委嘱者から指定されたカテゴリー(細川俊夫はピアノ協奏曲)からモーツァルト作品を選択し、それと同一の楽器編成で新作を作曲することが条件となっている。細川俊夫が選んだのはピアノ協奏曲第23番イ長調K. 488。《月夜の蓮》はこの不朽の名作へのオマージュとして作曲されている。

「私にとってモーツァルトの音楽は、少年時代から最も愛するヨーロッパ音楽のひとつである。その音楽の高い気品と優雅さ、そしてそこから溢れる悲しみと慰めが一体化した音楽は、私たち東洋人が知ることのなかった音楽世界である。私たち日本人は、さまざまな形で西洋の音楽を約130年前から受け入れ、学ぼうとした。そうした西洋音楽の最も高い世界をモーツァルトの音楽は体現していると思う。
  私はここ数年、「花」をテーマに作曲を続けている。私の祖父は、いけばなの師匠であったこと。私の愛する日本の伝統演劇「能楽」の創始者世阿弥にとって、最高の演技者は「花」ととらえられていたこと。日本の伝統詩歌にとって、「花」は最も重要なテーマであったこと。そうしたことが、私を「花」への関心に向かわせた。(中略)
 静かな明るい月夜、蓮の花は蕾のまま、月光を受けて、開花に向かって、夢にまどろむ。その夢の中には、かすかにモーツァルトの音楽への憧れ(西洋音楽への憧れ)が託される。」
(作曲者によるプログラム・ノートより)

北ドイツ放送交響楽団のウェブサイトはこちら
上記ウェブサイト中の"MOZART2006"のページはこちら