第38回ミュージック・ペンクラブ音楽賞受賞:細川《ナターシャ》/ブリテン《夏の夜の夢》
2026年 3月 16日付

ミュージック・ペンクラブ・ジャパンが主催する第38回ミュージック・ペンクラブ音楽賞の受賞者が発表され、セイジ・オザワ松本フェスティバル2025《夏の夜の夢》がオペラ・オーケストラ部門で、新国立劇場で行われた細川俊夫《ナターシャ》の世界初演が現代音楽部門で受賞した。
2025年8月17日から24日にかけて、セイジ・オザワ松本フェスティバル2025にて上演されたベンジャミン・ブリテン《夏の夜の夢》は、ロラン・ペリーが演出、装置、衣裳デザインを手がけ、同フェスティバルの首席客演指揮者を務める沖澤のどかが指揮を務めた。沖澤の精緻な音楽作り、歌手、合唱、管弦楽それぞれが織りなすハイレベルなアンサンブルと、ペリーの幻想的で美しい舞台が素晴らしい融合を見せ、このオペラが描く物語、妖精たちと人間たちの2つの世界を見事に描き出した舞台となったことが評価された。
細川俊夫の新作オペラ《ナターシャ》は、東京の新国立劇場で2025年8月11日から17日にかけて、大野和士の指揮、クリスティアン・レートの演出・美術により世界初演された。多和田葉子が台本を手がけた多言語によるこのオペラは、我々が目の当たりにしている現実そのものを地獄と看做して、主人公2人に巡らせながら、その先の新しい世界への扉を開く、希望を感じさせる道筋を示す。細川は現代の問題を鋭く描き出すために、ジャンルを越えた音楽や非楽音を採用し、ソリストやオーケストラに加え、合唱にも様々な場面で重要な役割を与えた。また、大規模な電子音響や映像による舞台効果も相乗効果をなし、オペラの新しい総合的なあり方を提示したことが今回の受賞に繋がった。