アンサンブル・コンテンポラリーα 湯浅譲二 追悼コンサート

photo © Jun'ichi Ishizuka
昨年7月に94歳で逝去した湯浅譲二の「追悼コンサート」が、11月12日、東京オペラシティにてアンサンブル・コンテンポラリーαの主催で執り行われる。同団体の副代表であり、湯浅の教え子でもあった作曲家の伊藤弘之が発案し、即座に全員の賛同を得て、昨秋から準備してきた会である。
プログラムには、湯浅の1950年代から2000年代までの作品のうち、厳選された7つの室内楽作品が並ぶ。第1曲目は1957年に「実験工房ピアノ作品発表会」で初めて発表されたピアノのための《内触覚的宇宙》(1957)で、このタイトルの作品は2002年のオーケストラのための《内触覚的宇宙Ⅴ》まで、楽器を変えて断続的に作曲されることになる。第2曲目以降は、二つのフルートによる《相即相入》(1963)、ピアニスト高橋アキの委嘱作品である《オン・ザ・キーボード》(1972)、盟友であった武満徹に捧げられたヴァイオリン、チェロ、ピアノのための《ソリテュード・イン・メモリアム T.T.》(1997)、《弦楽トリオのためのプロジェクション》(2001)、ソプラノと7人の奏者のための《つぶやき》(1988)と続く。そして最後は、IRCAMの委嘱による4チャンネルテープと室内アンサンブルのための《世阿彌・九位》(1987-88)である。この作品は1988年に、ケント・ナガノ指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポランとIRCAMによって初演された。
演奏を担うのは、アンサンブル・コンテンポラリーαのメンバーに加え、ピアノの大須賀かおりやフルートの丁仁愛を始めとする、現代音楽分野で活躍する音楽家たちである。1950年代の前衛芸術家グループ「実験工房」に参加して以来、オーケストラ、室内楽、合唱、劇場用音楽、インターメディア、電子音楽、コンピュータ音楽と、様々な分野で展開した湯浅の創作が、志を同じくした若い世代の演奏を通して、未来に渡って受け継がれていくことを予期させてくれる。
「アンサンブル・コンテンポラリーα 湯浅譲二追悼コンサート」
湯浅譲二
《内触覚的宇宙》ピアノのための
《相即相入》二つのフルートによる
《オン・ザ・キーボード》ピアノのための
《ソリテュード・イン・メモリアム T.T.》ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための
《弦楽トリオのためのプロジェクション》
《つぶやき》ソプラノと7人の奏者のための
《世阿彌・九位》4チャンネルテープと室内アンサンブルのための
2025年11月12日(水)19:00 東京オペラシティ(東京)
太田真紀(ソプラノ)、山田岳(amplifiedギター)、北嶋愛季(チェロ)、長坂未玖(コントラバス)、丁仁愛、 齋藤志野(以上フルート)、阿部麿(ホルン)、大関一成(トロンボーン)、大須賀かおり(ピアノ)、稲野珠緒(パーカッション)、アンサンブル・コンテンポラリーα
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