細川俊夫古希記念コンサート「50年のうつろひ」
photo © Kaz Ishikawa
今年70歳を迎える細川俊夫の古希記念コンサート「50年のうつろひ」が、10月12日にゲーテ・インスティトゥート東京にて開催される。今年1月にも、同じくこのゲーテ・インスティトゥート東京でサクソフォン奏者の大石将紀によって生誕70年周年記念コンサートが開かれたが、今回は3月に発表されたスペインのBBVA Foundation Frontiers of Knowledge Award「音楽とオペラ部門」の受賞も祝して行われる。
プログラム前半は、細川の40代までに書いた4作品を振り返る。1976年にドイツへ留学して数年のうちに発表した2作品、《ウィンター・バード》(1978)と《メロディア》(1979)に始まり、《線Ⅰ》(1984/86)、《時の深みへ》(2025)(サクソフォン版世界初演、原曲のチェロとアコーディオン版の作曲は1996年)が取り上げられる。細川独自の東洋の楽器への関心や、「音楽で沈黙の上に音のカリグラフィーを描く」という発想の原点がここで示される。後半では、「演奏家はシャーマン(巫女)である」という観念のもとに作曲されたシャーマニズムの3作品、ヴァイオリンのための《エクスタシス(脱自)》(2016/2020)、ソプラノ・サクソフォンのための《スペル・ソング ー 呪文のうた ー》(2014-2015/2016)、6人の打楽器奏者のための《祈雨》(2018)が取り上げられる。
本演奏会の出演者には、これまで幾度も細川の作品に携わってきたサクソフォンの大石を始め、ヴァイオリンの毛利文香、アコーディオンの大田智美、フルートの上野由恵らが名を連ねる。細川の約半世紀にわたる作曲活動の中では数々の著名な音楽家が作品の上演を行ってきたが、今回演奏を担うのがこうした有望な若手演奏家であることが、細川の今後への大きな期待を抱かせる。
細川俊夫古希記念コンサート「50年のうつろひ」
BBVA Foundation Frontiers of Knowledge Award「音楽とオペラ部門」受賞を祝して
細川俊夫《ウィンター・バード》ヴァイオリンのための
細川俊夫《メロディア》アコーディオンのための
細川俊夫《線Ⅰ》フルートのための
細川俊夫《時の深みへ》サクソフォンとアコーディオンのための【世界初演】
細川俊夫《エクスタシス(脱自)》ヴァイオリンのための
細川俊夫《スペル・ソング ー 呪文のうた ー》ソプラノ・サクソフォンのための
細川俊夫《祈雨》6人の打楽器奏者のための
2025年10月12日(日)16:00 ゲーテ・インスティトゥート東京(東京)
毛利文香(ヴァイオリン)、大田智美(アコーディオン)、上野由恵(フルート)、大石将紀(サクソフォン)、キハラ良尚(指揮)、国立音楽大学打楽器アンサンブル
https://www.goethe.de/ins/jp/ja/ver.cfm?event_id=26928727
https://schottjapan.com/hosokawa70/