権代敦彦《ラクリメ、または5つの涙》世界初演
photo © Michiharu Okubo
8月30日に愛知県芸術劇場で行われる愛知室内オーケストラ第78回定期演奏会にて、権代敦彦《ラクリメ、または5つの涙》がマハン・エスファハニのチェンバロ独奏、山下一史指揮の同オーケストラにより世界初演される。
チェンバロとオーケストラのための《ラクリメ、または5つの涙》は、権代がコンポーザー・イン・レジデンスを務めている愛知室内オーケストラからの委嘱2作目となる作品。
作曲家によると「『流れよ、わが涙 "Flow, my tears"』と歌われる、下降する4つの音から成る『流れる涙』のモティーフ= falling tear motif で、全編が塗り固められた曲」であり、この作品のモティーフは、「『流れる涙 falling tear motif』の下降4音モティーフの、着地、集積点(=音)として更に1音付け加え」られた5音からなるという。
また、ソリストがチェンバロ奏者であるため、「片手に5本、両手で10本の指を持ち合わせており、因って5音のモティーフを奏することが、機能的にも相応しく、最も理に適っている」という考えのもと、5音のモティーフとなっている。
今回の作品は、今年2月に初演された同オーケストラの委嘱第1作目の《時と永遠を結ぶ絃》とともに、作曲家からとある人へのレクイエムの連作として書かれている。前作は「死者の永遠の安息を願う、神に向けた祈り」として書かれたのに対し、《ラクリメ、または5つの涙》は、「内的な心情の吐露」であるとされており、「10本の指先から流れ出る感情と涙で、その向かう先は定かでは無い。」
権代敦彦
《ラクリメ、または5つの涙》(2024)
チェンバロとオーケストラのための
Atsuhiko Gondai: Lacrimae, or 5 Teares for cembalo and orchestra
世界初演
マハン・エスファハニ(チェンバロ)、山下一史(指揮)、愛知室内オーケストラ
2024年8月30日(金)18:45 愛知県芸術劇場コンサートホール
https://ac-orchestra.com/20240830-aco78/