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小出稚子《揺籠と糸引き雨》世界初演

2022年 10月 20日付
2022年 11月 5日更新

小出稚子/Noriko Koide

小出稚子の新作、オーケストラのための《揺籠と糸引き雨》が、10月29日、大阪のザ・シンフォニーホールで行われるBBC Proms Japan Prom Osaka にて、ダリア・スタセフスカ指揮、BBC交響楽団によって世界初演される。

《揺籠と糸引き雨》は、BBC Radio 3の委嘱により作曲された。朝吹真理子の小説『Timeless』からインスピレーションを受けて書かれており、タイトルの「揺籠」は蚕の繭を、「糸引き雨」は蚕の吐き出す糸と、細い糸のような雨の両方を指している(小説の中でも、雨と糸のイメージは重なっている)。

朝吹真理子の作品では、無時間的、超時間的な、始めも終わりも境目もなく、自在に伸縮する時間や空間をもつ世界が描かれ、登場人物たちもその境目が曖昧な世界のなかを流れるように存在している。《揺籠と糸引き雨》はそうした世界観を反映した作品で、「最初から中心に個は存在せず」、「境界線や輪郭は溶け出していて」、何かの枠に囚われない、あるがままの存在が「寄り添いあったり、離れたり」しながら音楽を紡いでいく。

「ここ10年ぐらいことあるごとに境目のことを考えてしまう。生と死の境目、昼と夜の境目、他者と自分、正常と異常、うどんと素麺、子どもと大人、金持ちと貧乏、暑いと寒い、男と女などなど。考えるほど世の中に境目という境目は存在しなくて、そこら中に曖昧で不規則なグラデーションがただただ存在しているように思える。」(小出稚子)

11月5日には、東京のBunkamuraオーチャードホールで開催されるProm5「爽やかな北欧の風と21世紀音楽の夕べ」のプログラムの中でも取り上げられる。

(2022年11月5日追記)

作品解説(PDF)を掲載しました。

小出稚子 Noriko Koide
揺籠と糸引き雨
オーケストラのための
Swaddling Silks and Gossamer Rain for orchestra
【世界初演】
ダリア・スタセフスカ(指揮)、BBC交響楽団
Prom Osaka
2022年10月29日[土]16:00 ザ・シンフォニーホール(大阪)
https://www.bbcproms.jp/mainstage/osaka
Prom5 「爽やかな北欧の風と21世紀音楽の夕べ」
2022年11月5日[土]19:00 Bunkamuraオーチャードホール(東京)
https://www.bbcproms.jp/mainstage/prom5