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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016 ― 武満徹特集&細川俊夫《循環する海》

2016年 4月 1日付

illustrated by Yoshitoshi Shinomiya


東京・日比谷の東京国際フォーラムを中心に、今年も5月の連休3日間にかけて『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭』が開催される。今年は「la nature ナチュール - 自然と音楽」をテーマに、ルネサンスから現代まで500年にわたる音楽史の中から、季節、風景、動物、天体、自然現象など、さまざまな切り口から選曲された多彩なプログラムによる演奏会が予定されている。

なかでも今年没後20年を迎えた武満徹は、その作品が数多く取り挙げられる作曲家の1人。5月4日と5日に行われる「武満徹が見た風景」と題された2回の公演では、それぞれ弦楽器&ピアノ、フルート&ギターの組み合わせで、《十一月の霧と菊の彼方から》《鳥が道に降りてきた》《エア》《海へ》といった武満の器楽作品が特集される。また5日に行われる「オール・武満・プログラム」公演では、2月に「20年目の命日に贈るタケミツの愛のうた」公演で共演を果たした小林沙羅(ソプラノ)と荘村清志(ギター)が再び登場し、《SONGS》に収められた歌や、ギター独奏《森のなかで》が演奏される。

ほかにもピアニストの海老彰子、小川典子、福間洸太朗が、それぞれのリサイタル公演で武満作品を取り挙げるほか、作曲家・藤倉大による企画公演では、ペルーの伝統音楽、デヴィッド・シルヴィアン、坂本龍一、大友良英らと並んで武満《エキノクス》が村治奏一(ギター)によって演奏される。3日、井上道義指揮新日本フィルハーモニー交響楽団による「大自然のパノラマ〜アメリカ・大峡谷へ」公演では、初期のオーケストラ作品《グリーン》が取り挙げられる。

同じく3日の「大自然のパノラマ〜海へ」公演で、ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルハーモニー管弦楽団によって演奏される、細川俊夫:オーケストラのための《循環する海》も聴き逃せない。2005年ザルツブルク音楽祭の委嘱によって作曲され、同音楽祭でのワレリー・ゲルギエフ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による世界初演、準メルクル指揮フランス国立リヨン管弦楽団による日本初演(2007)ほか欧州各国で演奏されてきたこの作品は、いまや細川を代表する管弦楽作品の1つといえる。


ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2016
武満徹・細川俊夫 関連公演:


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テクスト:林田直樹(音楽ジャーナリスト・評論家)